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2017.12.15

社員の給与を上げて法人税を減らす?

 法人税の所得拡大促進税制をご存知でしょうか。
ざっくりおおまかにお伝えすると「社員の給与を上げたら法人税額を安くしますよ」という制度です。
制度自体は以前からあるのですが、昨日、平成30年度税制改正大綱で改組が発表されました。

大企業と中小企業では制度が違うため、今回は中小企業の所得拡大促進税制についてご説明させていただきます。

 

所得拡大促進税制とは・・・

<対象者>
青色申告書を提出する中小企業者等

<対象事業年度>
2018年(平成30年)4月1日~2021年(平成33年)3月31日までの間に開始する各事業年度

<要件>
国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上である

<効果>
給与等支給増加額の15%の税額控除ができる
※ただし、控除税額は、当期の法人税額(所得税額)の20%を上限とする

 

計算例!

頭の良い方はすぐに理解されるのかもしれませんが、一読しても「?」が浮かびます。
要件のところは特に何をおっしゃっているのやら・・・

つまり、例を示して計算していくと・・・

ホニャララ商店の場合

・2019年(平成31年)1月1日から新事業年度。

・従業員 Aさん
ずっと昔から働いています。
2018年は月30万円受け取っていて、年額は360万円。
2019年は月1万円上がって、年額372万円です。

・従業員 Bさん
Aさんと同じくずっと働いています。
2018年は月20万円受け取っていて、年額は240万円。
2019年は月1万円上がって、年額252万円です。

・従業員 Cさん
2018年10月に働き始めました。
2018年の給与は30万円。
2019年の給与は120万円。

まず従業員をふるいにかけ、継続雇用者だけを計算に含めます。
継続雇用者とは当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある国内雇用者で一定の者。
ホニャララ商店の場合は、Cさんは途中で働き始めたため計算には含めません。

平均給与支給額は今年度の ( 372万円 + 252万円 ) ÷ 2人 = 312万円

比較平均給与等支給額は前年度の ( 360万円 + 240万円 ) ÷ 2人 = 300万円

312万円 - 300万円 = 12万円

12万円 ÷ 300万円 = 0.04(4%)

「1.5%以上なので、ホニャララ商店は税額控除を受けられる!」ということになります。

 

15%の税額控除が25%に!?

さらに要件が厳しくなりますが、

①上記の割合が2.5%以上である
②教育訓練費の額が前年と比較して10%以上増加している
 もしくは
 経営力向上計画の認定を受け、計画に従って経営力向上が行われた証明をされた

この2つの要件をどちらも満たすと、給与等支給増加額の25%の税額控除ができます。
※ただし、控除税額は、当期の法人税額(所得税額)の20%を上限とする。

 

気を付けないといけないポイント

①設立事業年度は対象外!

以前の制度では、設立事業年度でも税額控除を受けられましたが、設立事業年度は対象外となってしまいました。

②今年度と前年度のまるまる2年、毎月給与をもらっている人が必要!

「継続雇用者」の範囲が見直され、まるまる2年毎月給与をもらっている人がいない場合は、要件を満たさず、適用されないこととなりました。

 

他にも、平成30年度税制改正大綱で多くの税制見直しや、新しい税制の創設が発表されています。
税金は時代を映す鏡のようなものだと思いますので、ご覧になってみてください。
ご相談もお待ちしております。

 

・平成30年度税制改正大綱 
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf

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