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2022.10.27

インボイス制度~何から始めたらいいの?~

インボイス制度の導入まで1年を切ったからか、

インボイスについて、顧問先の方とお話しする機会が増えてきました。

 

「何か決めないといけないみたいだけど、何から考えたらいいかわからない。

何を準備しておくかもわからない。

とにかく良いようにしておいてもらえないか。」

こういったお声をいただくことが多いです。

『お任せください!こちらで全てやっておきます!』と言いたいところですが、

やはり顧問先様の売上先や仕入先などの状況を詳しく聞き、

そこで初めて最善の方法が見えてくるものなのです。

 

こちらの記事では、ざっくりとですが

『インボイスについてどういった道筋で考えていくか』

また、

『具体的に何を準備しないといけないのか』

をお伝えしたいと思います。

 

 

(1)インボイス発行事業者に登録するかしないか

まず第一に『インボイス発行事業者に登録するかしないか』を考えます。

 

その前に、インボイス発行事業者に登録すると何ができるの?

そのままですが、インボイスを発行することができます。

インボイスとは・・・

例えば11,000円(税込)の品を売った時に、『1,000円が消費税ですよ』と証明する書類です。

 

110円で仕入れたものを220円で売った時のことを考えてみましょう。

仕入先からインボイスをもらえたとき!

『10円が消費税ですよ』と証明されているので、

20円(220円で売ったうちの消費税)-10円(110円で仕入れたうちの消費税)=10円

上記の計算で決算時に納める消費税は10円です。

しかし・・・

仕入先からインボイスがもらえないとき!

20円(220円で売ったうちの消費税)-0円=20円

決算時に納める消費税は20円です。

※経過措置があるので2029年9月までは計算が違います。
 経過措置について詳しく知りたい方は『インボイス制度 経過措置』で検索をお願いします。

 

同じ110円の品を仕入れても、納める消費税額に違いが出るなら、

インボイスをくれる仕入先から買いたいですよね。

このように、売上先が「インボイス欲しい!」と言うのかどうか、まずはそこから考えましょう。

 

話は戻って、インボイスに登録するかしないか~課税事業者の場合~

課税事業者さんはインボイス登録しようがしまいが消費税を納める必要がありますので、

どうせならインボイスを発行できた方がいい、ということでインボイス登録一択です。

 

ここからが本題、インボイスに登録するかしないか~免税事業者の場合~

問題は免税事業者さんです。

このまま免税事業者でいくのか・・・

はたまたインボイス登録をして課税事業者になるのか・・・

 

先程もお伝えした通り、まず、売上先がインボイスを必要とするかどうかを考えます。

売上先が一般消費者免税事業者の場合、インボイスを必要としません。

(一般消費者や免税事業者は消費税を清算しないので・・・)

また、課税事業者でも簡易課税を選択している場合はインボイスを必要としません。

(売上の〇割を仕入とみなしてざっくり計算するので・・・)

売上先が一般消費者・免税事業者・課税事業者(簡易課税制度選択)ばかりだったら、

インボイス制度の影響はそれほど大きくないと思いますので、

免税事業者のままでいるという選択もありでしょう。

 

売上先が課税事業者の場合は、「インボイス欲しい!」となると思いますので、

免税事業者のままでいると、取引が減る恐れ、また値下げ要求を受ける恐れもあります。

他では買えない引く手あまたの商品を売っているのであれば

値下げにNOということもできますが、

どこでも買えるものならば、売上先が別のところに流れてしまうのを恐れて

しぶしぶ値下げを受け入れるということもあるでしょう。

 

免税事業者がインボイス発行事業者登録するかどうかは、

売上先の状況、商品の価値、売上先との関係性など複合的な視点で判断していく必要があります。

売上先が少ないところでは、売上先に相談されている方も見受けられます。

 

 

(2)準備しておくこと~売り手側~

登録を受けることが決まったら、下記の準備を進めます。

 

・インボイス発行事業者の登録(正式には『適格請求書発行事業者の登録申請手続』)

 制度開始の令和5年10月1日から登録を受けるためには、

 令和5年3月31日までに申請書を提出する必要があります。

・交付している請求書や領収書などの記載内容の見直し

 <記載事項>

 ① インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号(※登録すると登録番号が通知されます。)

 ② 取引年月日

 ③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

 ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率

 ⑤ 消費税額等(端数処理は一インボイス当たり、税率ごとに1回ずつ)

 ⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

・売上先へ「インボイス発行事業者の登録を受けた」という通知

 売上先から登録番号を尋ねられたという話も聞きます。

 皆さん仕入先が登録しているか気にしていらっしゃると思いますので、

 売上先へ通知するのもいいでしょう。

・インボイス写しの保管方法の検討

 発行したインボイスの写しを保管する必要がありますので、

 コピーするのか、複写を保管するのか、データをとっておくのか、保管方法を検討しましょう。

・価格の検討

 今まで免税事業者だったところは消費税の負担が出てきますので、

 それも踏まえて価格が適正かどうか検討しましょう。

 

 

(3)準備しておくこと~買い手側~

・原則or簡易課税の検討

 消費税の計算方法は原則課税と簡易課税があります。

 どちらがお得か、売上予測、今後予定されている経費などから考えます。

 簡易課税であればインボイスの保管は不要ですので、以下の項目は検討不要です。

・仕入先がインボイスに登録している(する予定)かどうかの確認

 インボイス登録をしないのであれば、税負担が増える可能性がありますので

 価格の見直しの相談が必要かもしれません。

 また、仕入先の変更もあるかもしれませんので、早めに確認を進めましょう。

・インボイスの保管方法の検討

 受け取ったインボイスも保管が必要です。

 

 

まとめ

以上、長くなりました・・・

細かいことを話し出すともっともっと長くなってしまうのですが、

こちらの記事を「ふーん」くらいに読んでおいてもらえると

今後の検討・準備も少しはしやすくなるかと思います。(なればいいな・・・。)

来年10月のことですが、1年は本当にあっという間ですので

早めに準備を進めておきましょう。

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